シェイクスピアを、
テーマで読みなおす。

「結婚で終わる喜劇は、本当にハッピーエンドなのか」「狂ったふりと本物の狂気は、どこで見分けるのか」。作品を一本ずつ解説するのではなく、37作品を貫くテーマを一本ずつ掘っていく読み物サイト。あらすじの補足つきで、シェイクスピアを読んだことがなくても大丈夫。

THEMES
THEME 01

狂気は演技か、本物か

「狂ったふり」を宣言するハムレット、本当に壊れていくオフィーリアとリア王、完璧に狂人を演じきるエドガー、眠りの中でだけ罪に追いつかれるマクベス夫人。5人の「狂った人たち」を演技度順に並べてみると、狂気が「真実の通り道」になっていることが見えてくる。

ハムレット / リア王 / マクベス
THEME 02

結婚は悲劇なのか——「結婚で終わる喜劇」への疑い

シェイクスピアの喜劇は結婚で終わる。でもその結婚、よく見ると相当あやしい。演じられているかもしれない服従スピーチ、罰として配られる結婚、プロポーズに返事をしない花嫁。「めでたしめでたし」の裏側を読む。

じゃじゃ馬ならし / 尺には尺を / お気に召すまま / 冬物語
THEME 03

異性装とジェンダー——男装のヒロインと少年俳優

ヴァイオラ、ロザリンド、ポーシャ。男装するヒロインたちの物語は、当時「女性役はすべて少年俳優が演じた」という上演事情と重なると、二重三重——ときに四重にねじれた構造が見えてくる。

十二夜 / お気に召すまま / ヴェニスの商人
THEME 04

悪役はなぜ観客に語りかけるのか——独白が作る「共犯関係」

リチャード三世は開幕早々、観客に犯行予告をする。イアーゴーは計画の進捗を逐一報告してくれる。悪役はなぜ客席とばかり親密なのか。観客を「共犯者」にする独白の仕掛けを考える。

リチャード三世 / オセロー / リア王
THEME 05

道化だけが、王に本当のことを言える——「愚か者の免許」を読む

忠臣は直言して追放され、末娘は沈黙して勘当された。なのに道化だけは、王の目の前で王の愚かさを歌い続けて許される。「愚か者の免許」という制度と、その効力の範囲を考える。

リア王 / 十二夜 / お気に召すまま
THEME 06

亡霊と魔女——見える人と、見えない人

ハムレットの亡霊は、最初は皆に見えるのに、後半は一人にしか見えなくなる。マクベスの短剣は本人すら幻と自覚している。「誰に見えるか」の設計から、超自然という装置の正体を考える。

ハムレット / マクベス
THEME 07

父と娘——祝福されない相続

愛を計量しようとしたリア王、「娘よ! 金貨よ!」と叫んだシャイロック、娘の恋を自作自演したプロスペロー。シェイクスピアの父たちは、娘を手放す場面でことごとくつまずく。家父長の愛と所有のあいだを読む。

リア王 / ヴェニスの商人 / 夏の夜の夢 / テンペスト
THEME 08

王冠の重さ——王であることは呪いなのか

役に酔ったリチャード二世、眠れなくなったヘンリー四世、変装して役の外に出てみたヘンリー五世、眠りを殺したマクベス。シェイクスピアの王たちを貫く法則——王冠と眠りは交換される。

リチャード二世 / ヘンリー四世 / ヘンリー五世 / マクベス
COLUMNS — 肩の力を抜いて読む
COLUMN 01

ロミオとジュリエット、実は5日間の話

「永遠の愛」の代名詞を時系列表にすると、日曜に出会い、月曜に結婚し、木曜の夜に二人とも死ぬ。原作の9か月を5日に圧縮したのはシェイクスピア本人だ。この異常な速度こそが主役である。

ロミオとジュリエット
COLUMN 02

「マクベス」と言ってはいけない

英語圏の劇場では、楽屋でこのタイトルを口にしてはいけない。呼ぶときは「スコットランドの芝居」。破った者への「お祓い」の作法まである。400年続く演劇界最大の都市伝説の中身と正体を考える。

マクベス
COLUMN 03

あなたも今日、シェイクスピアを喋っている

break the ice、love is blind、緑の目の怪物、そしてノックノックジョークの原型まで。日常英語に埋まった400年前の台詞を発掘する。英語学習のネタにもどうぞ。

ヴェニスの商人 / オセロー / マクベス ほか
COLUMN 04

シェイクスピア悪口講座

「この三インチの阿呆め」「干からびた牛タンめ」。シェイクスピア劇は史上最高の悪口の宝庫でもある。ケントの怒涛の連続罵倒からフォルスタッフの応酬まで、名悪態を鑑賞しながら罵倒の修辞学を学ぶ。

ヘンリー四世 / リア王 / マクベス ほか
COLUMN 05

シェイクスピア劇・死者数ランキング

最多死者数の栄冠は? ワインの樽で溺死、熊に追われて退場、そしてパイ。死者数と死因を集計すると、「量で殴る初期」から「一人の死で殴る円熟期」への設計思想の変化が見えてくる。

タイタス・アンドロニカス / リチャード三世 / ハムレット ほか
CHARACTERS — 人物の変化を追う
CHARACTER 01

ハル王子——最大の「成長物語」は、友を捨てる話である

放蕩王子から英雄王へ。ただしこの成長は、第1幕の独白で「計画済み」と種明かしされている。これは成長か、演技か。そして代金として捨てられた親友フォルスタッフの話。三部作を貫く人物の変化を追う。

ヘンリー四世・第一部 / 第二部 / ヘンリー五世
CHARACTER 02

マクベス夫人——「鬼にしてくれ」と祈った人は、鬼になれなかった

開幕では夫より冷酷だったはずの人が、なぜ眠りの中で壊れたのか。「私を女でなくしてくれ」の祈りを不足の自己申告として読み直すと、最初から予告されていた下降アークの設計図が見えてくる。

マクベス
CHARACTER 03

シャイロック——悪役が主役を乗っ取るとき

台本上は喜劇の敵役。なのに400年の上演史は、彼を悲劇の主人公に変えてきた。「ユダヤ人には目がないのか」の演説を軸に、書かれた人物と演じられた人物のずれを追う。

ヴェニスの商人
CHARACTER 04

クレオパトラ——「演じすぎる女王」の最後の演出

気分屋で、芝居がかっていて、嘘つきで、それでも目が離せない。シェイクスピアが書いた最も複雑な女性は、自らの死を史上最高の舞台として演出して幕を下ろす。

アントニーとクレオパトラ